父が亡くなり、祖父も去ると、セルジュは母と二人きりになりました。 やがて冬が訪れる頃になると、母はよく寝込むようになっていました。 セルジュにはお腹に赤ちゃんがいると嘘をついていましたが、結核に感染していたのです。 アスランのお父さんも亡く…
───あれから二年の歳月が立ちました。アスランは父親になっていましたアスランはパイヴァと共にチロルの山村で暮らしていました。かつて、病気と闘うアスランの命をよみがえらせてくれた山々に見守られ、息子のセルジュを授かっていました。アスランはもうす…
娼婦であるパイヴァと恋に落ちたアスラン。アスランはこの時18歳。父親のバトゥール子爵からパリの屋敷を譲られたばかりで、来年は大学に入学し、いずれは父の跡を継ぐ、その前途は洋々たるものでした。パイヴァは17歳でしたが、社交界の大物をパトロンに持…
1865年10月。18歳のアスランはパリの屋敷を正式に相続しました。かわいいだんな様だね~この若すぎる当主に周囲からは不安の声もありました。でもアスランのお父さんは、優秀だけどいい子過ぎて世間ずれもしてない息子に、早くしっかりして欲しかったんじゃ…
さて、今回からセルジュ編です。風と木の詩の主人公はジルベールだと思われてますが、主人公はセルジュです。セルジュは貴族なのに浅黒い肌を持つ、正義感の強い真っ直ぐな心の少年でした。セルジュはどんな幼少期を過ごしたのでしょうか?その前にセルジュ…
三階の窓から身を投げたジルベールは、ボナールが危険を覚悟で受け止めたのと、下に枯れ葉の山があった幸運でなんとか命をとりとめはしました。しかしながらジルベールはショック症状で意識を失ったまま戻らず、ボナールも怪我を負ってしまったのです。ボナ…
ジルベールはもう屋敷には戻ろうとはせず、ボナールの所で厄介になっていました。ソドミアンだという事をおおっぴらにしているボナールは、地位や名声には目もくれず、自分の生きたいように生きている人なんでしょうね。たとえソドミアンだと周囲から糾弾さ…