風木部

溺愛「風と木の詩」

風と木の詩その6 第二章 青春③


セルジュがリリアスから呼び出された温室で怪我を負い意識を失ってしまった時から一日半ののち────。


ジルベールは何事もなかったかのようにフェンシングの授業に出ていました。


セルジュは一日半医務室で過ごしてから授業に顔を出してジルベールを見つけます。




リリアスの唇は熱かったかい?
それともバラの香りがした?

相変わらずのジルベールなのだ



しかしジルベールがワッツ先生に知らせてくれたんだと聞いていてセルジュはお礼を言います。


ただその時の記憶が全然ないらしく「リリアスって子は僕とキスしたと言い触らしてるんだけど君は見てたの?」と馬鹿な事を聞いてみる。


ハアッ!?
知らんわそんなん!!


ああ、セルジュが医務室から帰ってこないからジルベールはご機嫌が悪いのだ



セルジュの傷はたいしたことはなかったものの過労による貧血をおこしているからと2、3日休むよう医者に言われたのです。


決して逃げ出そうなんて思ってないのに言い訳も聞かずジルベールは行ってしまいます。


そしてワッツ先生に見つかりまだ寝てなくちゃいけない身体なのに授業に出るなんてと叱られてしまいます。



ここから温室での回想シーンです











ワッツ先生の話








いつもの高慢さはまるで影を潜め幼い子供のようなジルベール。


なんか別人のようですがこれもまたジルベールなのです。









いたずらなんかであろうはずがなく、ジルベールが何か言ったところでワッツ先生は信用しないだろうから言っても無駄だと思ったのです。


セルジュはジルベールの心が痛いほどわかるのでした。



ジルベールは見切っている
僕ら、こちら側の人間すべてを!


セルジュを心配するワッツ先生の言葉もなんだか上の空




ワッツ先生にはセルジュは今は亡き親友の息子ですから思い入れが深いのでしょう。 


そして内心ではジルベールと同室にするのではなかったと後悔してるんでしょうね。


まあセルジュもねー、ジルベールのとばっちりとゆうか迷惑かけられっぱなしですよね。


今回の怪我もそうだしジャック・ドレンが部屋の戸棚に隠れてた事件とかもう犯罪じゃね。


いやジルベール本人が性犯罪が服着て歩いてるようなもんだもんね。
いやいや服は着てないか(笑)


それでもうワッツ先生はあの部屋を出るようにとセルジュに言ってみるけど「僕は平気だから心配しないで」って必死なわけ。

普通の相手とは違うんだよ、と言ってみるけど「だからこそです」って言うんだな。





──────だからこそ裏切れない
彼にとっては裏切りは死にもひとしい。




一方こちらはジルベール
セルジュの固い決心も知らず
セルジュのベッドでもの思いにふけっております



ジルベールはセルジュが自分からさっさと逃げ出すだろうと思っていたのに、そうならないのでちょっと見直しちゃったりして。


あきれるほどのセルジュの誠実さがジルベールに伝わりつつあるのかもしれません。


けれどジルベールと彼の世界に他人は介在しませんからセルジュはもう帰ってこないものと思い込んでおります。


でも少し寂しそうに見えます。





スゴいビックリしております


ジルベールと彼の世界との均衡が崩れた瞬間かもね。



きみから離れろとワッツ先生に言われたよ
満足かい?


で、どうするつもり?

キッパリ!



ジルベールかなり取り乱しております
なんとか態勢を整えております


傲慢でいらっしゃる


ジルベールから傲慢と言われたくないですけどね。

まあ自分を過信してるんじゃないよ的な。


セルジュは堂々としちゃってるけどジルベールの方は虚勢を張ってるように見えますね。


ほんとはうれしいくせにー!


だがしかし、これでいよいよ二人がいい感じになると思うのは早計ですよ。


二人が結ばれるのはもっとずっとずっとずーっと先の話だから。


風と木の詩がかなり戦略的に練れてると思うのはそこなんです。


二人が結ばれるまでの過程をとても丁寧に描いていて、それはなんとそれぞれの生い立ちそれぞれの親の話までさかのぼるんです。


ジルベールの出生や彼を取り巻く環境がどんなに異常なものだったか。

セルジュの父アスランが高級娼婦のパイヴァとスキャンダラスな駆け落ちをして世間を騒がせた事とか。

そりゃあもう枚挙にいとまがないほどてんこ盛りの内容でして豪華絢爛にプロセスが積み重ねられていきます。


そうしてジルベールとセルジュは出会うべくして出会ったのだ、運命だったのだと読者に悟らせてからいよいよ結ばれるとゆうね、そこまでがなげーんだわ。





いよいよジルベールと彼の世界に介在する唯一の人オーギュスト・ボウが出ちゃったりして。