その日、オーギュストが学院を訪問して来た事を知るとジルベールはセルジュの前から走り去ってしまいました。
ジルベールが焦がれるように待ち続ける人、オーギュスト・ボウ。
その切ない気持ちに気付きながら、セルジュは皮肉にもオーギュストの計らいで従妹のアンジェリンと再会する事となります。
顔の傷が・・・
アンジェリンはセルジュに会えた喜びで無邪気に抱きついてきますが、その顔には火傷の跡がはっきりわかります。
こういう戸外の陽光の下では顔の傷跡なんかは残酷なほどよく見えてしまうんですよね。
セルジュはショックでアンジェリンが懸命に話しかけるのに上の空になってしまいます。
けれどアンジェリンは健気にも、セルジュが自分の事を気に病んでいるとオーギュストから聞いて仲直りしなくちゃいけないと思ったとか、自分はもう平気とか言うんです。
たった一人で子爵家で生きるセルジュの孤独を慰めてくれたアンジェリンは、セルジュにとって天使のような存在でした。
そのアンジェリンの顔に残る傷跡はセルジュを苦しめ、アンジェリンがどんなに望んでも二人はもう元のようには戻れないんです。
セルジュはただ涙をこぼし「僕は一生君に仕えるよ」と言うばかりでした。
それを見ていたオーギュストは、セルジュは思った通り優しすぎて目の前の不幸を見ぬ振りが出来ないな~と考えています。
そしてジルベールを扱うにはちと人間修行が足りないなと、冷静に観察してるのでした。
まあ、おっしゃる通りだと思いますね。
それにしてもこの二人、まるで仲人のような立ち位置で二人を見守っています。
あとは若いお二人で、みたいな
叔母は明らかにオーギュストにカマかけてますな。
セルジュをあきらめてオーギュストに乗り換えようとしてるのかなー。
この人は自分が娘を不幸にしているのに一向に気付いていませんな。
まるで密談してるみたいな二人ですが、オーギュストが「私も一時は身を固めようと思って見合いもしましたが(したんだ)、まだしばらくは独り身でいます」と言った時、不意に笑い声が響きます。
こういう時のジルベールの笑い声はよく響くんだろうな~
この子はほんといつの間にか近くに来てますね。
しかも男連れだし。
エキセントリックなジルベールに困惑しながら「立ち聞きしてたんじゃないです。密会してただけです」とか弁解するけど、ジルベールに利用されたんですよね。
その一部始終を聞いて笑いが止まらないロスマリネ
「あなたが女の子に興味を示すなんて冗談でしょう・・・」
確かにアンジェリンはまだ11歳ですからオーギュストにはその趣味はないですよね。
でもオーギュストは存外アンジェリンは気に入ったようです。
そしてロスマリネは「それはセルジュへのけん制というわけですね。そんなにあの悪魔っ子が大切ですか?」と軽口をたたきます。
またまた笑いが止まらないロスマリネ
ジルベールが無垢だと聞いてそんな不釣り合いな言葉があるかと笑ってしまいます。
完全に馬鹿にしてますね。
無垢とは一般的には身も心も汚れていないという事です。
学院の不特定多数の同性と肉体関係を持つジルベールの(これはロスマリネが最も忌み嫌っている所ですが)どこが無垢なんだと、ロスマリネは笑うわけです。
しかしオーギュストは「何もおかしくなどない。誰もが無垢の意味を知らないだけだ」と冷たく言い放ちます。
ではオーギュストの言う無垢の意味は何でしょう。
オーギュストはジルベールを最初に育てようと思った時、しつけや教育を一切しませんでした。
親の束縛もなく社会の規律も知らずただ真っ直ぐに伸びる植物のようにジルベールは育ちましたが、それはある意味オーギュストの実験だったように思います。
その自由過ぎる魂と類まれな美貌は人を虜にし、そのせいでボナールに無理矢理犯されてしまいます。
人は性で汚れると考えるオーギュストは、ジルベールがその力に負けない為に抱きその関係にジルベールは支配されています。
でも性行為に嫌悪感を持つオーギュストと違ってジルベールはオーギュストとの性に溺れてしまいました。
オーギュストはジルベールを抱かなくなり、ジルベールは愛に飢えその胸を焦がし時に狂わんばかりにオーギュストを求めます。
ジルベールがこの世で唯一求めているのはオーギュストだけなんです。
それがオーギュストにとっては無垢な姿なんだろうと思います。
そしてそれを守る為ならば自分は何だってすると、恐ろしい重圧感で言いロスマリネをタジタジとさせます。
しかも、笑ったお仕置きなのかオーギュストの矛先はロスマリネに向かいます。
「そもそもは君がセルジュをジルベールから引き離さなかったのが間違いだ」
「君はジルベールの事になど触れたくないのだろうが恐れが利益を生む事に期待はできないよ」
お、おうじが!やめたげてー
オーギュスト何もしてないよ。
髪を触ってるだけですよ。
楽しそうに。
ところがロスマリネはパニックにでもなったようにガクブルで、必死でジュールの名を呼びます。
さすが参謀、隣室に控えてるんですね。
ジュールが迅速にしかし静かに部屋に入ってきます。
オーギュストはロスマリネの呼んだジュールの正式の名を覚えておこう、なんて言いました。
一方、セルジュは父が亡くなった時の事を回想していました。
父がいないと泣くセルジュを慰めた優しくて気丈な母。
セルジュの心に浮かぶ情景はいつもアルルでの幼い日々です。
両親はセルジュを愛してくれました。
その記憶がセルジュを支えているとも言えます。
そこへパスカルがやって来ました。
二人はあれこれと語らいます。
春になれば花は咲くのに人はどうして素直になれないのだろう
セルジュは自分がジルベールに抱いている気持ちをパスカルは理解してくれるだろうかと考えていました。
「人を愛する事に素直になったらどんなだろう?」
それは、時と場合によるんじゃないかな。
セルジュはパスカルと会話する事で何かをつかもうとしていました。
さて、もう出番はないかと思っていたら再び登場しました「リリアス・フローリアン」
なんか悪意しかない。