風木部

溺愛「風と木の詩」

風と木の詩その12 第三章 SANCTUS聖なるかな④

19世紀末のフランス。ジプシーの血をひき褐色の肌を持つ少年セルジュは、アルル地方にある名門男子校ラコンブラード学院に編入します。寮で同室になった少年ジルベールは、類い稀な美しさと自由過ぎる魂を持ち、まるで男娼のような暮らしを送っているのでし…

風と木の詩その11 第三章 SANCTUS聖なるかな③

カトリックには「告解」というシステムがあります。自分が犯した罪を神に告白して許しを得るものです。実際は司祭に告白するわけだけど、顔見知りだったりとかしたら、ちょっと言いづらかったりしないのだろうか。一応顔が見えないような工夫がしてあるらし…

風と木の詩その10 第三章 SANCTUS 聖なるかな②

さて、クリスマス休暇も終わり新学期が始まりましたよ。春の気配が感じられる日が多くなると、まるで何事もなかったかのように日常が戻ってきます。馬術の授業風景ラコンブラード学院では馬術の他に、フェンシングやフットボールなんかもやっていますね。け…

風と木の詩その9 第三章 SANCTUS 聖なるかな①

SANCTUS(サンクトゥス)とはミサ曲です。聖なるかな 聖なるかな 聖なるかな万軍の主なる神主の栄光は天地に満てりいと高きところに ホザンナ作者はウィーン少年合唱団のファンでした。あの天使の歌声を思いだしてみよう!第三章 SANCTUS━聖なるかな━はじま…

風と木の詩その8 第二章 青春⑤

クリスマス休暇にパスカルの家に招待されたセルジュは列車でリヨンまでやって来ました。今から列車に乗れば夕食には間に合うぞ、とパスカルが言っていたのでラコンブラード学院とリヨンはそれほど離れていない模様。ラテン語の得意な優等生を招待した、とパ…

風と木の詩その7 第二章 青春④

さて、季節は冬。ラコンブラード学院ではクリスマス休暇の前の冬期試験が始まりました。上級生も下級生もこの時ばかりはおとなしく図書室や自習室にこもって勉強にいそしみます。セルジュも今までは家庭教師についていたので学校の勉強とはズレがあって遅れ…

風と木の詩その6 第二章 青春③

セルジュがリリアスから呼び出された温室で怪我を負い意識を失ってしまった時から一日半ののち────。ジルベールは何事もなかったかのようにフェンシングの授業に出ていました。セルジュは一日半医務室で過ごしてから授業に顔を出してジルベールを見つけます…