風木部

溺愛「風と木の詩」

2018-01-01から1年間の記事一覧

風と木の詩その21 第四章ジルベール⑨

三階の窓から身を投げたジルベールは、ボナールが危険を覚悟で受け止めたのと、下に枯れ葉の山があった幸運でなんとか命をとりとめはしました。しかしながらジルベールはショック症状で意識を失ったまま戻らず、ボナールも怪我を負ってしまったのです。ボナ…

風と木の詩その20 第四章ジルベール⑧

ジルベールはもう屋敷には戻ろうとはせず、ボナールの所で厄介になっていました。ソドミアンだという事をおおっぴらにしているボナールは、地位や名声には目もくれず、自分の生きたいように生きている人なんでしょうね。たとえソドミアンだと周囲から糾弾さ…

風と木の詩その19 第四章ジルベール⑦

オーギュが結婚?オーギュストが結婚する、という噂話を立ち聞きしてしまったジルベールは、とてもショックを受けます。あくまでも噂話なんだけどね。しかしジルベールにとっては、オーギュストが誰かに奪い取られてしまうようで、とても我慢できない事でし…

風と木の詩その18 第四章ジルベール⑥

1877年夏。オーギュストとジルベールはパリにやって来ました。パリの華やかさにワクワクするジルベール19世紀半ばまでは、パリの住民は信じられない事に汚水や生ゴミや排泄物などを道路に捨ててたそうで、パリは臭くて汚い不衛生な街でした。コレラなんかも…

風と木の詩その17 第四章 ジルベール⑤

海の天使(ケルビム・デ・ラメール)城 1877年、ジルベール10歳 知る前は怖いけど知ってしまえば、なあんだって思うもの。 それは性。 すべてを知り尽くしてるジルベールにとっては、大人への恐れなど何ほどの事もありません。 純真な子供の振りをするアンフ…

風と木の詩その16 第四章ジルベール④

まだ子供だっていうのに、恐ろしい事にボナールにレイプされショックで放心状態のジルベール。憐れな姿で戻って来たジルベールにオーギュストの態度は冷たい。あんまりだこの最悪の事態は予定調和でしょう。ボナールは危険だと執事も危ぶんでいたのに、警戒…

風と木の詩その15 第四章 ジルベール③

ジャン・ピエール・ボナール男爵は彫刻家であり、ショタが好きな男色家です。ジルベールがオーギュストに逆らい当主の権限で滞在を許してしまった為に、この危険な男はジルベールに熱中して付きっきりになります。子供を扱うのも上手いのかもしれない。乗馬…

風と木の詩その14 第四章 ジルベール②

1874年、この年ジルベールは7歳になりました。絢爛豪華な海の天使城で、寝たい時寝て起きたい時に起き、衣服もろくに着けず動物のように自堕落に暮らしていました。生まれてから誰にもかえりみられる事のなかったジルベールにとって、初めて出来た家族(と言…

風と木の詩その13 第四章 ジルベール①

作者の過去のインタビューなど読みますと、連載当初ジルベールは読者から嫌われてしまったらしいですな。わがまま過ぎるとか、自由奔放過ぎるとか言われて。なんかわかるわ。風と木の詩はセルジュを主人公に据えてますが、作者が心底描きたかったキャラクタ…

風と木の詩その12 第三章 SANCTUS聖なるかな④

19世紀末のフランス。ジプシーの血をひき褐色の肌を持つ少年セルジュは、アルル地方にある名門男子校ラコンブラード学院に編入します。寮で同室になった少年ジルベールは、類い稀な美しさと自由過ぎる魂を持ち、まるで男娼のような暮らしを送っているのでし…

風と木の詩その11 第三章 SANCTUS聖なるかな③

カトリックには「告解」というシステムがあります。自分が犯した罪を神に告白して許しを得るものです。実際は司祭に告白するわけだけど、顔見知りだったりとかしたら、ちょっと言いづらかったりしないのだろうか。一応顔が見えないような工夫がしてあるらし…

風と木の詩その10 第三章 SANCTUS 聖なるかな②

さて、クリスマス休暇も終わり新学期が始まりましたよ。春の気配が感じられる日が多くなると、まるで何事もなかったかのように日常が戻ってきます。馬術の授業風景ラコンブラード学院では馬術の他に、フェンシングやフットボールなんかもやっていますね。け…

風と木の詩その9 第三章 SANCTUS 聖なるかな①

SANCTUS(サンクトゥス)とはミサ曲です。聖なるかな 聖なるかな 聖なるかな万軍の主なる神主の栄光は天地に満てりいと高きところに ホザンナ作者はウィーン少年合唱団のファンでした。あの天使の歌声を思いだしてみよう!第三章 SANCTUS━聖なるかな━はじま…

風と木の詩その8 第二章 青春⑤

クリスマス休暇にパスカルの家に招待されたセルジュは列車でリヨンまでやって来ました。今から列車に乗れば夕食には間に合うぞ、とパスカルが言っていたのでラコンブラード学院とリヨンはそれほど離れていない模様。ラテン語の得意な優等生を招待した、とパ…

風と木の詩その7 第二章 青春④

さて、季節は冬。ラコンブラード学院ではクリスマス休暇の前の冬期試験が始まりました。上級生も下級生もこの時ばかりはおとなしく図書室や自習室にこもって勉強にいそしみます。セルジュも今までは家庭教師についていたので学校の勉強とはズレがあって遅れ…

風と木の詩その6 第二章 青春③

セルジュがリリアスから呼び出された温室で怪我を負い意識を失ってしまった時から一日半ののち────。ジルベールは何事もなかったかのようにフェンシングの授業に出ていました。セルジュは一日半医務室で過ごしてから授業に顔を出してジルベールを見つけます…

風と木の詩その5 第二章 青春②

学院の外出日にジルベールが原因でクルトと取っ組み合いのけんかになってしまったセルジュ。クルトは絶交を宣言し怒って帰ってしまうし月に一度の外出日は台無しになっちゃいました。カールはとりあえず自分の下宿にセルジュを連れて行き傷の手当てをしてや…

風と木の詩その4 第二章 青春①

第二章 青春人里離れた山奥の名門学校ラコンブラード学院に多感な日々を過ごす少年たちのそれぞれの青春。はじまりはじまりさて学院に転入してきたセルジュがジルベールと同室になり運命的な出会いを果たす波乱の幕開けでしたが、セルジュはすぐに友人もでき…

風と木の詩その3 第一章 薔薇②

さて、深夜にボロボロになってご帰還したお騒がせなジルベールの容態が気になるセルジュなのですが。セルジュを見つめる熱い視線この下級生はセバスチャン・マイセ。実はカールの弟です。でも品行方正な兄とは違ってこの子は何やら積極的でハキハキしていま…

風と木の詩その2 第一章 薔薇①

ジルベール・コクトー我が人生に咲き誇りし最大の花よ風と木の詩は、風(ジルベール)と木(セルジュ)の詩(うた)。きみはわがこずえをならす風。第一章 薔薇はじまりはじまりジルベールとブロウは古びた温室で逢い引き「寄宿舎」「礼拝堂」「古びた温室」…

風と木の詩その1 序章

※このブログはアメブロから引っ越したものです 暑いねー。 もうねー暑いから、自分の好きな物を愛でるだけの、自分だけが楽しい自己満足ブログでいいか。 とか思ちゃって、この作品をチョイスしてみました。 これなら一晩中語れる自身がある(笑) 風と木の…