ジルベール・コクトー
我が人生に咲き誇りし
最大の花よ
風と木の詩は、風(ジルベール)と木(セルジュ)の詩(うた)。
きみはわがこずえをならす風。
第一章 薔薇
はじまりはじまり
ジルベールとブロウは古びた温室で逢い引き
「寄宿舎」「礼拝堂」「古びた温室」はギムナジウムものの鉄板ですよねー。
ギムナジウムとはドイツ語の大学進学を前提とした中等教育機関(日本での中高一貫校)の事。
24年組の漫画作品ではギムナジウムを舞台とした
物が他にも描かれています。
必ずしも全寮制ではないのですが(カールは寮生ではなく下宿から通学してます)たいていは全寮制男子校が舞台になってます。
伝統的な名門校に細身の制服にリボンタイの美少年がお約束。
さて、授業にもろくに出ず答案やレポートもほとんど白紙で出すようなジルベールがどうやって試験をパスしているのか?
おうちからの莫大な寄付金で特別にお目こぼししてもらってるのか?
まあそれもありますが、ジルベールはどうやら身売りして試験にパスしてたらしいのです。
今日のブロウとの逢い引きもいい成績を取れるだけのレポートを持ってきてくれたら僕の事30分だけ好きにしていいよーとか言ってたらしい。
ブロウはたぶんお勉強できる子から力づくで奪い取ってきたんだよね、絶対。
おす豚!
ほんと辛辣ですよね。
わざわざ怒らせるような事を言って。
ブロウは腕っぷしだけは強いんだから。
その頃、カールは授業に顔を見せないジルベールが気になって探していました。
転校してきてまだ何も知らないセルジュをジルベールの同室にしてしまった級長としての責任感からだけなのでしょうか。
生殖を伴わないホモセクシャルはガキっぽい趣味だと言うパスカル
パスカル・ピケは3年連続で落第してる変わり者の同級生です。
堅物で気苦労の多いカールはざっくばらんなパスカルに心の中の屈託を語ります。
「ジルベールはこのままじゃいけない。
誰かが、まともにしてやらなけりゃ。」
しかしパスカルは事も無げに
「ムリだな!」
「彼をつかまえて説得するには彼の皮膚を通りぬける以外方法はないよ。
彼は自分のからだで人を測るからね。
級長さんにできるかい?」
と言うのです。
そんな二人の会話にどこからかジルベールの声がして二人は驚いてしまいます。
被虐的なジルベールの妖艶さにドキドキしちゃうカール
「抱きたいだろ?素直に抱けよ。
その気がないと言い張るんなら・・・
さわるな!」
強気な言葉も傷だらけの華奢な身体もカールを翻弄するには十分過ぎます。
乱れて草に広がる金髪
痛みを耐える額の汗
うつろな瞳
血
途切れる呼吸を聞きながら、もうわけがわからなくなってカールは発作的にジルベールを抱こうと襲いかかります。
そんな事は罪だと知っていたはずなのに。
しかし動けないと思っていたジルベールは蝶のように身をかわし
「らしくないね、級長さん」
と皮肉な言葉を残して立ち去ってしまうのです。
どんなに理性的な人間でも欲望はある。
ジルベールはそれを知っていて仕向けてきたんだよね。
どうしてそんな事をするのかって?
それは追々わかってくるからね。
眠っていたセルジュが気づくと、ジルベールは雨に濡れひどくケガしているうえに吐いた物を詰まらせて呼吸が止まってしまいます。
パスカルがやって来て冷静な対処で助けてくれたので事なきを得ますが、セルジュはジルベールが意識を失う前に自分にキスしようとしてきた事を打ち明けます。
パスカルはしばらく考えこんでから、助けてもらう代償にセルジュを誘惑して身売りしようとしたのだろうと言うのです。
変わり者だけど頼れる男
セルジュは今さらながら事の重大さを切実に感じ何か不穏な空気に胸がざわつくのでした。
一方、昨日のジルベールとの一件を懺悔しようと礼拝堂にやって来たカールをジルベールが待ち受けていました。
大胆不敵なマッパで登場
えー?
朝から礼拝堂で君を待ってたっつーんだけどその格好でか?
うーん、ほんと最強だなジルベール。
もう追撃の手をゆるめないよね。
それだけセルジュをルームメートにしたカールの行動が許せないんだね。
カールはもう恐れおののいちゃってるから震えあがって逃げてったよ。
美しい悪魔
カールがセルジュを見込んでジルベールと同室にしたのはジルベールの事を思っての行動で、人の本質を見抜くジルベールはそれはわかっているのです。
カールはジルベールに誘惑され思わず彼を抱こうとした自分の行動に衝撃を受けていました。
自分は彼を心配していただけなのか?
本当は彼を抱きたかっただけじゃないのか?
それこそがジルベールの罠でありカールもそれに気づいて今さらながらジルベールの持つ底知れない闇の深さに心を傷めるのでした。
自分ごときが関わるべきではなかった。
セルジュまで巻き込んでしまうって。
階段教室でラテン語を学ぶ
ギムナジウムには古典語系、現代語系、自然科学・数学系などがあるのでラコンブラード学院はラテン語を学ぶ古典語系ですかね。
ラテン語ってとても難解らしく作中でも生徒たちはぶーぶー文句たれています。
パスカルにいたってはラテン語はすでに死語だから学ぶだけ時間の無駄とか言っちゃってます。
元気いっぱいの少年たちは授業が終わって教室を勢いよく飛び出してきますがB級生がA級生にぶつかってしまいます。
学院には真面目な生徒だけでなくブロウやこのジャック・ドレンのように素行の悪い者もいます。
ドレンをたしなめているのが「白い王子」という二つ名を持つ生徒総監のロスマリネです。
悪いねー
少年たちはなぜかくもジルベールに魅せられるのでしょうか。
ひとつは学院の特異な閉鎖性がありますよね。
思春期の多感な時期を厳しい規律の中で共同生活を送るっていうね。
そりゃモヤモヤしてるよねー。
そこへジルベールがくるわけですよ。
テラテラのブラウスを羽織っただけで、もうほとんど裸じゃねっていう格好でそこいらへんをフラフラしてるわけなんです。
しかも超ド級の美少年でセックスモンスターだからね(笑)
さてジルベールの次のターゲットはいよいよセルジュです。